あらすじ
語られるのは、事件そのものよりも四人の来歴です。島を出て進学した過去、金と家庭の事情、報われない好意。供述の順に読んでいくと、同じ場面の意味が何度も変わっていきます。
読みどころ
嘘をつく動機のほうが、事件の真相より重い作りです。恋愛小説として読む人も多い一作で、終盤の一行の受け取り方は読者によって分かれます。
こんな人に
おすすめしたいのは。人物の関係が少しずつ明らかになる話が好きな人。
テレビドラマ版は2014年放送。『贖罪』も多視点で語られる連作です。
向かないかもしれない人
事件の真相より、嘘をつく動機と四人の来歴に重心があります。犯人当ての爽快さを求める人や、終盤の受け取り方を読者に預けられるのが苦手な人には向きません。
比べ読み
『天使のナイフ』薬丸岳
罪をめぐる動機を掘る点で比べて読めます。『天使のナイフ』は少年法の問題を、被害を受けた側と加えた側の両方から見る社会派で、ミステリの仕掛けも最後まで緩まない。こちらは四人の若者の来歴と報われない好意が中心で、恋愛小説としても読める。社会の制度を考えたいなら天使のナイフを。
『ザリガニの鳴くところ』Delia Owens
謎よりも人の生き方に重心がある点で通じます。『ザリガニの鳴くところ』は湿地にひとりで暮らす女性と、生き物や植物の描写が読みどころ。こちらは島を出て進学した過去や金の事情を、供述の順に重ねていく。描写の美しさに浸りたい日はザリガニ、人間関係の変化を追いたい日はこちらを。













