あらすじ
伊豆での少年時代、旧制中学、戦時下の新聞社勤め。時代の変化とともに、周囲の人々の生き方も変わっていきます。自伝的な要素が強い作品です。
読みどころ
1953年の作品です。努力しても届かないという感覚を、題名そのものに置いた一冊で、世代を超えて読まれ続けています。
こんな人に
おすすめしたいのは。自分の来し方を振り返りたい人。
同じ作者の『しろばんば』も少年期を描いた長編です。
向かないかもしれない人
大きな事件や謎解きで引っ張る作りではなく、少年期から大人になるまでの歩みを章ごとにたどります。展開の速い話や、明快な成功談を求める人には静かすぎるかもしれません。
比べ読み
『小さいおうち』中島京子
戦前から戦時下の暮らしを背景に、一人の人生を振り返る点で並ぶ二冊です。『あすなろ物語』は少年時代から新聞社勤めまでを六章で追う自伝色の強い作品。『小さいおうち』は女中が晩年に書き残す形で、書かなかったことが中心にある。語りの仕掛けも楽しみたいなら小さいおうちを。
『さぶ』山本周五郎
努力しても届かない側の人間に目を向ける点が通じています。『さぶ』は報われない誠実さを脇の人物に置いた時代小説、こちらは届かない感覚を題名そのものに込めた自伝的な六章。江戸の人情ものに浸りたい日はさぶ、近代の少年が大人になる道筋をたどりたい日はあすなろ物語を。








