あらすじ
前半は殺人事件を追う筋立てで進み、後半は水の中で生きられるように作り変えられた人間の話へ移ります。人類が地上を離れる未来を受け入れられるかどうか。それが登場人物たちに突きつけられる。
読みどころ
1959年の作品で、日本SFの先駆けとされます。未来を知ることが正しいとは限らないという問いを、当時の科学の言葉で書ききった作品だ。巻末には著者自身の文章も付く。
こんな人に
おすすめしたいのは。純文学の書き手によるSFを読んでみたい人。
同じ作者の『砂の女』も文庫で読めます。
向かないかもしれない人
読みやすさは星2で、当時の科学の言葉で組み立てられています。前半の事件から後半は水中で生きる人間の話へ大きく移るため、一つの謎がまっすぐ解かれる展開を望む人は戸惑います。
比べ読み
『百億の昼と千億の夜』光瀬龍
日本SFの早い時期を代表する二冊です。『百億の昼と千億の夜』は神話や宗教の人物が宇宙の滅びを追う、桁外れの規模と虚無感の長編。安部公房のこちらは予言する計算機と一人の男の未来という、手の届く範囲から話が始まります。純文学寄りの硬い問いから入りたいなら『第四間氷期』、壮大さに呑まれたいなら光瀬作品を。
『火星のタイム・スリップ』フィリップ・K・ディック
どちらも時間と未来の見え方を扱います。『火星のタイム・スリップ』は自閉症の少年の内側から、ほかの人とずれた時間を書こうとする作品。こちらは計算機に未来を予測させた博士の立場が崩れていく筋で、前半は殺人事件を追う形です。謎を追う推進力が欲しいなら安部公房から、ディックを一冊読んだあとなら火星の話へ。









