あらすじ
収録は八編。どれも暴力や悪意を扱っていて、読む側を選びます。文章は硬質で、感傷をほとんど入れません。短編ごとに語りの仕掛けが変わるので、形式の実験としても読めます。
読みどころ
第60回日本推理作家協会賞の短編集部門を受けています。目を背けたくなる描写が多い代わりに、構成は極めて精密です。苦手な人には勧めませんが、短編の技術を見るには格好の一冊。
こんな人に
おすすめしたいのは。過激な描写を受け止められる人。
同じ作者の『ダイナー』は、より娯楽色の強い長編です。
向かないかもしれない人
八編とも暴力や悪意を扱い、目を背けるほどの描写が多いので、残酷な場面が苦手な人には向かない。おすすめ度は星2で、感傷や救いを求める人にも合いにくい。
比べ読み
『臓物大展覧会』小林泰三
どちらも読者を選ぶ短編集で、星の並びも同じ。「独白するユニバーサル横メルカトル」は暴力と悪意を硬質な文体で書き、語り手が地図や犬に替わる形式の実験が見どころ。「臓物大展覧会」は悪趣味と理屈っぽさが同居する九編で、発想の切れ味寄り。語りの技巧を見たいならこちら、奇抜な着想なら「臓物」を先に。
『パラサイト・イヴ』瀬名秀明
「パラサイト・イヴ」は細胞小器官が意思を持ち始める長編ホラーで、恐怖の源が科学の知識にある。実用度は星2とわずかに高め。こちらは人間の暴力そのものを短編で突きつける。理屈で怖がりたい時は「パラサイト・イヴ」、短い単位で強い描写に向き合える時はこちらを。









