あらすじ
惣菜屋の仕事は地味です。仕込み、接客、後片付け。店の人々や常連客、親戚や旧友との関係が少しずつ描かれ、聖輔は自分で生活を組み立てていきます。
読みどころ
誰も劇的なことをしないのに、状況が変わっていく書き方です。二十歳前後で一人になった人の生活が、具体的に書かれています。
こんな人に
おすすめしたいのは。静かな再出発の話を読みたい人。
続編に『いえ』があります。同じ作者の『近いはずの人』も文庫で読めます。
向かないかもしれない人
誰も劇的なことをしないまま状況が変わる書き方なので、大きな事件や意外な展開を求める人には平坦に映ります。仕込みや接客など地味な仕事の描写も多めです。
比べ読み
『虹の岬の喫茶店』森沢明夫
人を変えるのは助言より時間と場所、という考え方が二冊に共通しています。『虹の岬の喫茶店』は客を迎える店の側から、『ひと』は惣菜屋で働き始める大学生の側から書かれています。迎える側の視点で静かに過ごしたいなら森沢作品、一人で生活を立て直す過程を追うならこちら。
『とんび』重松清
どちらも周囲に助けられて暮らしを組み立てる話ですが、『とんび』は昭和の瀬戸内で息子を育てる父の長い年月、『ひと』は両親を亡くした二十歳前後の再出発です。親の側に立って読みたい人は重松作品、若い世代の一人暮らしに重ねたい人は小野寺作品を先に。









