あらすじ
収録は五編。誘拐の目撃者から特徴を聞き出す話、自分の描いた似顔絵が誤認につながりかける話など、一編ごとに瑞穂の立場が変わっていきます。手柄をめぐる駆け引きも、女性であることで受ける扱いも、そのまま書かれている。
読みどころ
事件そのものは小さくても、誰がどの情報を握るかで人の評価が変わるという職場の力学が緊張を生みます。著者の得意とする警察小説の骨格が、短い枚数に収まっています。
こんな人に
おすすめしたいのは。組織の中の人間関係を描いた警察小説が読みたい人。
同じ県警を舞台にした短編集に『第三の時効』があります。
向かないかもしれない人
派手なトリックや大事件を期待すると肩すかしになりそうです。女性であることで受ける扱いがそのまま書かれるため、職場の理不尽を読むのが今はつらい人には重く響くかもしれません。
比べ読み
『教場』長岡弘樹
どちらも警察の内側を舞台にし、殺人の謎より人の評価や隠しごとが緊張を生む。『教場』は警察学校で向かない者をふるい落とす視点、こちらは似顔絵担当の婦人警官が組織で居場所を探す視点。教える側の怖さを見たいなら向こう、働く側の悔しさに寄り添いたいならこちらから。
『46番目の密室』有栖川有栖
短編ごとに職場の力学を描くこちらに対し、『46番目の密室』は作家が別荘で死ぬ密室事件を長めに解く王道の本格。トリックを正面から楽しみたい日は向こう、事件は小さくても組織の中で人がどう扱われるかを五編で追いたい日はこちらが合う。星はどちらも同じ並び。









