あらすじ
取り調べは、当時の三人を呼び出すところから始まります。それぞれの記憶がずれていて、証言が出るたびにその夜の見取り図が書き換わる。学校という閉じた場所での力関係と、警察組織の事情が並行して描かれる。
読みどころ
著者のデビュー長編です。時効というタイムリミットが、そのまま物語の緊張を作っている作りで、短い章の積み重ねがよく効いている。青春小説としても読める。
こんな人に
おすすめしたいのは。限られた時間の中で進む捜査ものが好きな人。
同じ作者の『半落ち』『クライマーズ・ハイ』も文庫で読めます。
向かないかもしれない人
時効までのタイムリミットで押していく作りで、短い章が次々に切り替わります。人物の内面をゆっくり味わう静かな話を求める人や、学校内の力関係を読むのが苦手な人には落ち着かない展開です。
比べ読み
『天使のナイフ』薬丸岳
年月を経て過去の事件が掘り返される二冊です。『天使のナイフ』は少年法の問題に被害者側と加害者側それぞれの目から迫る社会派で、四年後の新たな事件から動きます。こちらは十五年前の転落死を時効までの丸一日で洗い直す話。制度の重さと向き合うなら薬丸作品、取り調べの緊張を味わうなら横山作品を。
『孤狼の血』柚月裕子
同じ警察ものでも荒々しさがまるで違います。『孤狼の血』は昭和末期の広島で、暴力団とのつながりが疑われる刑事に新人が配属される厚い話で、暴力の描写は強め。こちらは標準的な厚さで、取り調べでの証言のずれが緊張を作ります。骨太な話なら柚月作品、組織の事情を絡めた謎の組み立てを追うなら横山作品を。









