あらすじ
本の大部分を占めるのは、小説の地の文ではなく「資料」です。少女の失踪事件、団地での出来事、山中の奇妙な建物。一見関係のなさそうな話に、同じ地名や同じ言葉が何度も顔を出す。それが何を意味するのか、読者自身が推理しながら読み進めることになります。
読みどころ
ウェブ小説として発表され、話題になって本になった作品です。「本当にあったことかもしれない」と思わせる資料の生々しさが、この本の一番の怖さ。資料の中に何度も出てくる地名や言葉を覚えておくと、後半の読み心地が大きく変わります。
こんな人に
おすすめしたいのは。ネットの怖い話や、考察しながら読むホラーが好きな人。
2025年に映画化されました。本と映画で見せ方が違うので、両方楽しめます。
向かないかもしれない人
地の文で筋を運ぶ小説ではなく、断片の資料を読み合わせる本です。おすすめ度は星3で、語り手について行けば話がまとまる作りを好む人や、考察を面倒に思う人には負担が大きく感じられます。
比べ読み
『どこの家にも怖いものはいる』三津田信三
資料を並べるだけで怖さを生む形式の点で、近い組み合わせです。『どこの家にも怖いものはいる』は五つの記録がすべて家にまつわるもので、数が少なく見通しがよい。こちらは雑誌記事や書き込み、書き起こしなど断片が多く、何度も出る地名や言葉を自分でつなぐ手間がかかります。形式に慣れたい人は三津田作品を先に。
『深泥丘奇談』綾辻行人
どちらも現実と地続きの怖さですが、入口が違います。『深泥丘奇談』は京都の作家の身に起きる小さなずれを連作で重ね、自分の記憶を疑わせる型。こちらは失踪事件や団地の出来事などの資料を読み比べ、共通点を推理しながら進む型です。語りに身を任せたいなら綾辻作品、考察しながら読みたいならこちらを。








