棚の前で/ホラーの部/工場

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棚の前で

『工場』新潮文庫の書影書影:版元ドットコム

工場

  • ホラー
  • 新潮文庫
  • 分量:ふつう

町ひとつぶんの大きさがある工場で働く三人。仕事の内容が、誰にも説明できない。

おすすめ度
★★★★★
読みやすさ
★★★★★
物語性
★★★★★
実用度
★★★★★
再読性
★★★★★

おすすめ度は、棚の前でが「まず一冊」としてどのくらい強く勧めるかを示す数字です。物語性・再読性・読みやすさと分量から決めています。

版元
新潮社
判型
新潮文庫
刊行
2018年8月
ISBN
9784101205427

あらすじ

工場の敷地には店も住宅も川もあり、独自の生態系ができています。工場鵜、工場トカゲ、洗濯機を運ぶ黒い獣。時間の感覚が次第に狂い、語り手が誰なのかも曖昧になっていきます。

読みどころ

働くことの不条理を、幻想の手つきで書いた作品です。事件は起きませんが、読み終えると自分の仕事の輪郭まで怪しく感じられます。

こんな人に

おすすめしたいのは。不条理な職場小説を読みたい人。

同じ作者の『穴』は芥川賞を受けた中編です。

向かないかもしれない人

事件は起きず、時間の感覚も語り手の輪郭もぼやけていく作りです。筋の分かりやすい展開やはっきりした説明を求める人には、つかみどころがなく感じられそうです。

比べ読み

『処刑人』シャーリイ・ジャクスン

『処刑人』は大学の寮に入った17歳の足もとが崩れていく話で、幽霊も怪物も出てこない怖さという点で『工場』に近い手触りです。あちらは自分の考えが本当に自分の考えなのか怪しくなる感覚、こちらは仕事や職場の輪郭が狂っていく感覚が中心。働くことの不条理に引っかかりがあるなら『工場』から。

『ねじの回転』ヘンリー・ジェイムズ

『ねじの回転』は幽霊が実在するのか語り手の思い込みなのかが揺れる古典で、読みやすさは星2とこちらより一段低めです。どちらも語りの足場が曖昧になる作品なので、現代の日本語で不条理に慣れたいなら先に『工場』、信頼できない語り手の原点に触れたいならジェイムズを。

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