あらすじ
寿雪は、人と深く関わることを避けて生きてきました。けれど高峻の依頼をきっかけに、後宮で起きる不思議な出来事に次々と関わっていくことになります。幽鬼の正体、死者の思い残し。謎を解くたびに、寿雪の周りには少しずつ人が集まり始め、同時に彼女自身の出自の秘密も明らかになっていきます。
もう少し詳しく(結末には触れません)
烏妃は妃でありながら夜伽をせず、失せ物探しから幽鬼のお祓いまで、持ち込まれた頼みごとを引き受ける存在です。先代の烏妃だった麗娘からは、誰とも心を通わせてはいけないと教えられて育ちました。一巻は「翡翠の耳飾り」「花笛」「雲雀公主」「玻璃に祈る」の四話。シリーズは全七巻です。
主な登場人物
- 柳寿雪
- 夜明宮に住む当代の烏妃。牡丹の花や黒い羽根を使って術を使う。言葉づかいは古めかしいが、根は不器用で優しい。甘い包子に目がない。
- 夏高峻
- 霄の国の若い皇帝。かつて太子の位を追われた過去を持ち、感情をあまり顔に出さない。
- 衛青
- 高峻に仕える宦官。皇帝が烏妃に近づくことを警戒している。
- 九九
- 夜明宮で寿雪の身の回りを世話する侍女。明るくて世話好きで、寿雪を「娘々」と呼ぶ。
読みどころ
文章に品があり、後宮の華やかさと、烏妃の孤独との対比が美しく描かれています。一話ごとの謎解きの奥で、寿雪と高峻の関係がゆっくり変わっていくのも見どころです。
こんな人に
おすすめしたいのは。中華風の世界と、静かな謎解きが好きな人。
2022年にアニメ化されました。『薬屋のひとりごと』が好きな人にもすすめたい一冊です。
向かないかもしれない人
一話ごとの謎解きが中心で、寿雪と高峻の関係はゆっくりとしか動きません。速い展開や激しい恋愛を期待する人、全七巻のシリーズに付き合う気がない人には向かない場合があります。
比べ読み
『狼と香辛料』支倉凍砂
どちらも人ならぬ存在と人との距離がゆっくり縮まる話です。『狼と香辛料』は中世ヨーロッパ風の町で商売の駆け引きと軽口の応酬を楽しむ作り、『後宮の烏』は中華風の後宮で一話ずつ謎を解く作り。会話の掛け合いを味わいたいなら支倉作品、静かな謎解きを求めるなら白川作品を先に。
『いなくなれ、群青』河野裕
静かで少し寂しい読み心地は共通しています。『いなくなれ、群青』は捨てられた人たちの島で正反対の二人がぶつかる青春小説、『後宮の烏』は人と心を通わせるなと教えられた妃の周りに人が集まっていく話です。現代の若者の物語なら河野作品、異世界の宮廷が好みなら白川作品から。









