あらすじ
館の図面と各部屋の配置が丁寧に示され、読者も同じ材料で考えられます。捜査陣が試した仮説が順に否定されていき、最後に御手洗が現れて全体を組み直す。
読みどころ
大がかりな物理トリックの代表作としてよく挙げられる一作です。現実味より発想の大きさを楽しむ種類の本で、図面を見ながら読むと納得しやすくなります。
こんな人に
おすすめしたいのは。仕掛けの規模が大きいミステリが好きな人。
御手洗潔シリーズの一作目は『占星術殺人事件』です。
向かないかもしれない人
起こりうるかどうかより着想の規模で押す作品なので、現実に可能かを気にする人は引っかかります。読みやすさは星3で、図面と部屋の配置を確かめながら進む手間を面倒に思う人にも重めです。
比べ読み
『刺青殺人事件』高木彬光
どちらも再読性が星5の、仕掛けの大きさで勝負する本格です。『刺青殺人事件』は浴室から胴体が消える戦後まもない作品で、言葉づかいに古さが残ります。傾いた館が舞台の島田作品は、図面と部屋の配置を読者に渡して同じ材料で考えさせる作り。古典の空気から入るなら高木作品、図を見ながら頭を使うならこちらから。
『黄色い部屋の謎』ガストン・ルルー
密室ものの源流をたどるなら『黄色い部屋の謎』、その系譜が大がかりな物理トリックへどう膨らんだかを見るなら『斜め屋敷の犯罪』です。ルルーの方は悲鳴と銃声のあと誰もいない部屋という一室の謎、島田作品は建物の構造そのものが謎の材料になります。古い順に読むと、密室の規模が広がっていく流れが追えます。









