棚の前で/SFの部/高い城の男

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棚の前で

『高い城の男』ハヤカワ文庫SFの書影書影:版元ドットコム

高い城の男

  • SF
  • ハヤカワ文庫SF
  • 分量:ふつう

第二次大戦に枢軸国が勝った世界のアメリカ。そこで禁書になっている小説には、連合国が勝った世界が書かれている。ヒューゴー賞受賞作。

おすすめ度
★★★★★
読みやすさ
★★★★★
物語性
★★★★★
実用度
★★★★★
再読性
★★★★★

おすすめ度は、棚の前でが「まず一冊」としてどのくらい強く勧めるかを示す数字です。物語性・再読性・読みやすさと分量から決めています。

版元
早川書房
判型
ハヤカワ文庫SF
刊行
2011年2月
ISBN
9784150105686

あらすじ

作中では『イナゴ身重く横たわる』という小説が人々の間で読まれています。そこには枢軸国が敗れた歴史が書かれていて、読んだ者は自分の暮らす世界の確からしさを疑い始める。作者自身も執筆にあたって易経で筋を決めたと語っています。

読みどころ

戦争や軍事の場面はほとんど出てきません。負けた側の国で暮らす人の、細かな遠慮や卑屈さの描写が中心で、歴史改変SFでありながら読み心地は生活小説に近いところがあります。

こんな人に

おすすめしたいのは。もしも違う歴史だったら、という問いを静かに追いたい人。

2015年から配信ドラマになりました。同じ作者では『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』が有名です。

向かないかもしれない人

歴史改変ものに戦闘や作戦の迫力を期待すると当てが外れる。軍事の場面はほとんどなく、読みやすさの星も2つと低めで、展開の速さは求めにくい。

比べ読み

『すばらしい新世界 新訳版』オルダス・ハクスリー

どちらも現実と別の形をした社会を描くが、『すばらしい新世界』は不満のない管理社会の快適さを通して幸福を問う。『高い城の男』は枢軸国が勝った世界で暮らす人々の遠慮や卑屈さを、生活小説に近い手触りで追う。読みやすさはハクスリーが星1つ上なので、こちらの前の足慣らしにも向く。

『第四間氷期』安部公房

『第四間氷期』は未来を予言する計算機が博士の立場を崩していく話で、未来を知ることの是非が中心。『高い城の男』は作中の禁書が別の歴史を示し、いま暮らす世界の確からしさを揺らす。星の並びは近く、どちらも静かな問いを抱えて読む型。日本語の原典で入るなら安部公房、翻訳ものに慣れているならこちら。

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