あらすじ
作中では『イナゴ身重く横たわる』という小説が人々の間で読まれています。そこには枢軸国が敗れた歴史が書かれていて、読んだ者は自分の暮らす世界の確からしさを疑い始める。作者自身も執筆にあたって易経で筋を決めたと語っています。
読みどころ
戦争や軍事の場面はほとんど出てきません。負けた側の国で暮らす人の、細かな遠慮や卑屈さの描写が中心で、歴史改変SFでありながら読み心地は生活小説に近いところがあります。
こんな人に
おすすめしたいのは。もしも違う歴史だったら、という問いを静かに追いたい人。
2015年から配信ドラマになりました。同じ作者では『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』が有名です。
向かないかもしれない人
歴史改変ものに戦闘や作戦の迫力を期待すると当てが外れる。軍事の場面はほとんどなく、読みやすさの星も2つと低めで、展開の速さは求めにくい。
比べ読み
『すばらしい新世界 新訳版』オルダス・ハクスリー
どちらも現実と別の形をした社会を描くが、『すばらしい新世界』は不満のない管理社会の快適さを通して幸福を問う。『高い城の男』は枢軸国が勝った世界で暮らす人々の遠慮や卑屈さを、生活小説に近い手触りで追う。読みやすさはハクスリーが星1つ上なので、こちらの前の足慣らしにも向く。
『第四間氷期』安部公房
『第四間氷期』は未来を予言する計算機が博士の立場を崩していく話で、未来を知ることの是非が中心。『高い城の男』は作中の禁書が別の歴史を示し、いま暮らす世界の確からしさを揺らす。星の並びは近く、どちらも静かな問いを抱えて読む型。日本語の原典で入るなら安部公房、翻訳ものに慣れているならこちら。










