あらすじ
日岡には、大上の身辺を探るという別の任務も与えられています。暴力団同士の抗争が激しくなる中で、大上のやり方が何を守ってきたのかが少しずつ見えてくる。組織の論理と個人の判断が、何度も衝突します。
読みどころ
第69回日本推理作家協会賞を受けた作品です。正義の側にいるはずの人物が、最も汚れた手を使うという構図を、最後まで緩めずに書いています。暴力の描写は強めです。
こんな人に
おすすめしたいのは。警察小説やヤクザものを骨太に読みたい人。
映画版は2018年公開。続編に『凶犬の眼』があります。
向かないかもしれない人
暴力の描写が強めで、正義の側の人物が最も汚れた手を使う話です。流血や脅しの場面が苦手な人や、きれいな正義の物語を読みたい人には、ほかの警察小説のほうが合うでしょう。
比べ読み
『オリエント急行の殺人』Agatha Christie
『オリエント急行の殺人』は列車に閉じ込められた乗客への尋問で進む古典で、星の並びも共通しています。あちらは推理の運び方を追う楽しさが中心、こちらは組織の論理と個人の判断がぶつかる緊張が中心。骨太な警察ものを読む気力がある日はこちら、謎解きを落ち着いて追いたい日はポアロを。
『ザリガニの鳴くところ』Delia Owens
『ザリガニの鳴くところ』は湿地で見つかった死体から始まりますが、謎解きより一人の女性の生き方と自然の描写が前に出ます。昭和の終わりの広島を舞台に暴力団と刑事の駆け引きを追う『孤狼の血』とは温度がまるで違うので、荒々しい展開を求めるならこちら、静かな筆致を味わいたいなら湿地の話を。










