あらすじ
収録は六編。クレーム処理係の女性、やくざの男、雪山のペンション、老女の美容室。どの話にも千葉が現れ、対象を観察します。時代も場所も違う六編が、最後に一つの線でつながります。
読みどころ
死神の視点が、人間の事情をおかしなものに見せる構造です。ミステリとしての仕掛けもあり、最後の一編で全体の見え方が変わります。
こんな人に
おすすめしたいのは。短編集でこの作者を試したい人。
続編に『死神の浮力』があります。2008年に映画化。
向かないかもしれない人
死神が人の死を「可」か「見送り」かで判定する設定なので、死を軽やかに扱う調子が合わない人もいる。重厚な一本の長編を期待する人には、短編の連なりが物足りない場合がある。
比べ読み
『シャドウ』道尾秀介
どちらも最後に見え方が変わる仕掛けを持つが、本作は死神の目線でとぼけた笑いを混ぜ、『シャドウ』は身近な人の死が続く少年の話で空気が暗い。軽く入りたいなら本作から、読みやすさの星が一つ低い重めの組み替えを味わいたい時はシャドウを。
『爆弾』呉勝浩
六つの短編が雨の中でつながる本作に対し、『爆弾』は取調室の会話だけで都市全体の緊張を作る長編。星の並びはどちらも満点に近い。寝る前に一編ずつ進めたいなら死神の精度、まとまった時間で張りつめた応酬に浸りたい日は爆弾を。












