あらすじ
語り手は章ごとに入れ替わり、凰介、父の洋一郎、近所の少女の視点が交互に置かれます。一つの出来事に複数の説明が与えられ、読者はそのどれが正しいのかを保留したまま読み進めることになります。
読みどころ
記憶と思い込みが人をどう誤らせるかを扱った作品で、終盤の組み替えが鮮やかです。第7回本格ミステリ大賞を受けています。
こんな人に
おすすめしたいのは。真相が何度も反転する話を読みたい人。
同じ作者の『向日葵の咲かない夏』も、語りの信頼性を扱った一作です。
向かないかもしれない人
母を亡くした少年の周りで身近な人が次々に死ぬ話で、語り手も章ごとに替わる。どの説明が正しいか保留して読む作りなので、一本の視点で素直に筋を追いたい人は疲れるかもしれない。
比べ読み
『死神の精度』伊坂幸太郎
『死神の精度』は読みやすさが星5つで、死神の視点から人間の事情を眺める連作。締めくくりの一編が全体を組み替えます。シャドウは三人の語り手を交代させ、一つの出来事に複数の説明を重ねる長編。短い話を重ねて最後に驚きたいなら死神、長編でじっくり反転を味わうならシャドウを。
『ナイルに死す』アガサ・クリスティー
『ナイルに死す』は1937年の古典で、乗客全員に動機がある船の上という閉じた舞台で人間関係を組み上げる。シャドウは現代の家族と近所を舞台に、記憶と思い込みが人を誤らせる過程を追います。古典の様式に浸りたい気分ならナイル、語りそのものを疑いながら読みたいならシャドウを先に。













