あらすじ
ホリーは、嫌なことがあった日には、宝石店のティファニーへ行くと気分が落ち着くと言います。過去を語りたがらない彼女の周りには、ハリウッドのエージェント、刑務所にいるマフィアのボス、南米の外交官といった男たちが出入りしている。やがて、ホリーの意外な過去を知る人物が現れます。
読みどころ
オードリー・ヘプバーン主演の映画を知っている人は、原作のホリーのほうがずっと危うく、したたかなことに驚くはずです。村上春樹の訳は軽やかで、会話のテンポが心地いい。表題作のほか、短編が三篇収められています。
こんな人に
おすすめしたいのは。自由に生きることに憧れつつ、その寂しさも知っている人。
1961年の映画とは結末がかなり違います。読み比べると、原作の苦さがよく分かります。
向かないかもしれない人
物語性は星3で、大きな事件を追うより人物の危うさを眺める本です。映画の華やかな印象のままで入ると、原作の苦さに戸惑う人もいます。筋の起伏を求める人には淡く映ります。
比べ読み
『月と六ペンス』W. Somerset Maugham
型にはまらない人物を語り手が見つめる形が重なります。『月と六ペンス』は妻子を捨てて絵に向かった男の話で、皮肉の効いた語りが持ち味。ホリーは戦時中のニューヨークで、過去を明かさないまま男たちに囲まれて暮らす女性です。分量が軽いのはこちらなので、カポーティで肩慣らしをしてからモームへ。
『異邦人』Albert Camus
星の並びがほぼ同じ、薄い海外文学の二冊です。『異邦人』は世間の決まりごとから外れた男がどう扱われるかを、平易な文で追う話。『ティファニーで朝食を』は奔放な女性を回想する形で、村上春樹訳の軽い会話が入口になります。読みやすさはこちらが星1つ上なので、ホリーを先にしてカミュへ進むと無理がありません。








