棚の前で/月と六ペンス

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棚の前で

『月と六ペンス』新潮文庫の書影書影:版元ドットコム

月と六ペンス

  • 文学
  • 新潮文庫
  • 分量:ふつう

四十歳の株式仲買人が、ある日突然、妻子を捨ててパリへ消えた。絵を描くためだった。

おすすめ度
★★★★★
読みやすさ
★★★★★
物語性
★★★★★
実用度
★★★★★
再読性
★★★★★

おすすめ度は、棚の前でが「まず一冊」としてどのくらい強く勧めるかを示す数字です。物語性・再読性・読みやすさと分量から決めています。

版元
新潮社
判型
新潮文庫
刊行
2014年4月
ISBN
9784102130278

あらすじ

ストリックランドは、他人の好意も、恩も、女性の人生も、平気で踏みにじります。パリで彼を助けた善良な画家ストルーヴェも、その犠牲になる。やがてストリックランドは南太平洋のタヒチへ渡り、そこで最後の作品に取りかかります。語り手の「わたし」は、彼の死後、その足跡を人々の証言からたどっていきます。

読みどころ

ストリックランドは、友人には絶対にしたくない人物です。それなのに、彼の生き方から目が離せなくなるのが、この小説の不思議な力。金原瑞人の新訳は読みやすく、皮肉の効いた語り手のユーモアもよく伝わってきます。

こんな人に

おすすめしたいのは。安定した生活と、本当にやりたいことのあいだで揺れている人。

読み終えたら、ゴーギャンのタヒチ時代の絵を画集やネットで見てみてください。

向かないかもしれない人

主人公は他人の好意や恩を平気で踏みにじる人物で、作中にはその犠牲になる人も出てきます。好感の持てる主人公に寄り添って読みたい人には、反発ばかりが残るかもしれません。

比べ読み

『老人と海』Ernest Hemingway

星がそろった、一つのことに取りつかれた男の話です。『老人と海』は老漁師が沖でかかった大物と向き合う短い話で、外の自然との一対一の勝負。こちらは家族も恩も踏みにじって絵に向かう画家を、語り手が証言から追います。短い時間で集中して読むならヘミングウェイ、皮肉の効いた人物伝をじっくり味わうならモームを。

『こちらあみ子』今村夏子

『こちらあみ子』はおもちゃのトランシーバーで呼びかけても誰にも答えてもらえない少女の話で、周りと噛み合わない人を内側に近い場所から書きます。こちらの画家も周囲と噛み合いませんが、語り手は距離を取って皮肉まじりに眺めます。軽い今村作品から入り、外から描く古典としてこちらへ進む順も楽しめます。

stock

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