あらすじ
みつ屋には、きっぷのいい店長の椿、和菓子職人を目指す「乙女」な男性店員の立花、元ヤンキーでしっかり者の大学生・桜井がいます。毎日同じ和菓子を買っていく客、注文の言葉がどこかおかしい客。季節ごとの和菓子にこめられた意味を学ぶうちに、杏子はお客さんの本当の気持ちに気づけるようになっていきます。
読みどころ
和菓子の名前や由来の話がどれも面白く、読み終えると和菓子屋の前で足が止まるようになる。お仕事小説としても、居場所のなかった杏子が一歩ずつ自信をつけていく姿がいい。重い話を読んだあとの口直しにぴったりです。
こんな人に
おすすめしたいのは。甘いものが好きで、ほっとできる話を読みたい人。
続編の『アンと青春』『アンと愛情』もあります。読むときは、お茶とお菓子を用意してから。
向かないかもしれない人
殺人や大きな事件は起きず、謎もお客さんの小さな言動が中心です。本格的な推理や張りつめた展開を求める人には、和菓子の蘊蓄が続く分だけ物足りなさが残るかもしれません。
比べ読み
『天久鷹央の推理カルテ』知念実希人
専門知識で身近な謎を解く、軽めの連作どうしです。『天久鷹央の推理カルテ』は正体の分からない症状を見立てる医師が事件も同じ手つきで解く話で、医療の知識が鍵。こちらはデパ地下の売り場で、季節の和菓子にこめられた意味から客の本音を読み取ります。緊張感を足したいなら知念作品、一息つきたいなら坂木作品を。
『七つの会議』池井戸潤
職場が舞台という点は同じでも、温度はかなり違います。『七つの会議』は降格になった営業課長の裏に会社ぐるみの不正が隠れている企業もので、重い緊張が続きます。こちらは和菓子売り場のアルバイトがだんだん自信を持っていく話で、甘い口当たり。会社の闇を覗きたいなら池井戸作品、疲れた日の口直しならこちらを。










