棚の前で/青春の部/夜のピクニック

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棚の前で

『夜のピクニック』新潮文庫の書影書影:版元ドットコム

夜のピクニック

  • 青春
  • 新潮文庫
  • 分量:厚い

朝から次の朝まで、全校で80キロを歩く。最後の歩行祭で、ひとつだけ賭けをした。

おすすめ度
★★★★★
読みやすさ
★★★★★
物語性
★★★★★
実用度
★★★★★
再読性
★★★★★

おすすめ度は、棚の前でが「まず一冊」としてどのくらい強く勧めるかを示す数字です。物語性・再読性・読みやすさと分量から決めています。

版元
新潮社
判型
新潮文庫
刊行
2006年9月
ISBN
9784101234175

あらすじ

貴子と融は、同じ年に生まれた異母きょうだいです。融はそのことで貴子を避け、貴子も近づかずにきた。歩き出す前、貴子は心の中で小さな賭けをします。この歩行祭のあいだに、自分から融に話しかけると。親友の美和子、融の友人の忍、アメリカから飛び入りで来た少年。夜の道を歩きながら、それぞれが胸にしまっていたことが、少しずつこぼれ出てきます。

読みどころ

2005年に第2回本屋大賞と吉川英治文学新人賞を受けました。歩行祭は、作者の母校の茨城県立水戸第一高校で実際に行われている「歩く会」がもとになっていて、作者自身も設定はほぼ母校の行事だと話しています。事件らしい事件は起こらず、ただ歩いて、しゃべって、疲れていく。それだけで一晩が終わるのに、読み終えると自分の高校の夜を思い出す。2006年に多部未華子の主演で映画になりました。

こんな人に

おすすめしたいのは。修学旅行の夜のほうが、昼の観光より覚えている人。

同じ作者の短編集『図書室の海』に、この話の前日を描いた「ピクニックの準備」が入っています。読み終えてからどうぞ。

向かないかもしれない人

夜道を歩きながら話すことが中心で、事件らしい出来事は起こらない。謎や大きな展開で引っぱる話を期待すると、ゆったりした進み方がもどかしく感じられそうだ。

比べ読み

『横道世之介』吉田修一

事件らしい事件が起きない青春ものという点で近い二冊。夜のピクニックは歩行祭の一晩に時間を絞り、『横道世之介』は上京した十八歳の一年を追って、周囲の人たちの記憶の中に彼が残っていく姿を書く。短い時間の濃さを味わうなら前者、ゆるやかな一年に付き合いたい気分なら後者が向く。

『砂漠』伊坂幸太郎

『砂漠』は読みやすさが星5つで、仙台の大学生五人の四年間を麻雀やボウリング、少しの事件とともに追います。夜のピクニックは高校最後の一晩、異母きょうだいの間の小さな賭けが軸。にぎやかな仲間の話を先に読み、静かに胸の内がこぼれる夜の話へ移ると温度差がよく分かる。

stock

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