あらすじ
一編ごとに季節と場面が変わります。食卓、旅先、他人の家の集まり、友人との電話。どの話にも小さな違和感が置かれていて、それが解決されないまま次の話に進む。全体を通して読むと、二人の距離の測り方が浮かび上がります。
読みどころ
何も起きないのに、ずっと落ち着かない。その感触を文章の温度だけで作っています。家族小説として読むこともできるし、うすい恐怖の話として読むこともできる一作。
こんな人に
おすすめしたいのは。静かな筆致で、人と人の距離を書いた話を読みたい人。
同じ作者の『号泣する準備はできていた』も、短い話を重ねて関係を描く形式です。
向かないかもしれない人
物語性は星3つで、違和感は解決されないまま次の話へ進む。はっきりした出来事や結末で気持ちを片づけたい人には、もやもやが残る構成に感じられるかもしれない。
比べ読み
『羊と鋼の森』宮下奈都
派手な事件が起きない静かな話という点は共通。『羊と鋼の森』は調律の仕事に迷う青年を追い、静かに胸が熱くなる方向へ向かいます。赤い長靴は夫婦の小さな違和感が解けないまま次の話へ移り、落ち着かなさが残る。前向きな気分の日は羊と鋼の森、ざらりとした感触を味わいたい日は赤い長靴を。
『かもめ食堂』群ようこ
どちらも読みやすいものの、手ざわりは正反対に近い。『かもめ食堂』は読みやすさが星5つで、ヘルシンキの食堂でていねいに暮らす姿が心を整えてくれる。赤い長靴は事件のない日々に不穏さが漂い続ける連作。疲れを整えたい週末はかもめ食堂、人と人の距離を考えたい夜は赤い長靴が向く。









