あらすじ
専門学校を出た外村は、板鳥のいる楽器店に就職し、先輩の調律師たちについて顧客の家を回ります。そこで出会ったのが、ピアノを弾く双子の姉妹・和音と由仁。同じピアノでも、弾く人によって求める音が違う。外村は、自分に何が足りないのかを探しながら、一台ずつピアノと向き合っていきます。
読みどころ
ピアノの中の羊毛のハンマーと鋼の弦を、森にたとえたタイトルがそのまま本の空気になっています。派手な事件は何も起きないのに、静かに胸が熱くなる。仕事に「向いていない」と感じたことのある人ほど、外村の迷い方に自分を重ねるはずです。
こんな人に
おすすめしたいのは。自分に才能があるのか、不安なまま何かを続けている人。
2018年に映画化されました。読むときは、ピアノ曲を小さく流しておくのもおすすめです。
向かないかもしれない人
読みやすさは星四つ、物語性は三つ。大きな事件が起きないため、展開の起伏で読み進めたい人には静かすぎると感じられそうです。音の感覚を言葉で追う描写が多い点も好みが分かれます。
比べ読み
『かもめ食堂』群ようこ
どちらも派手な事件のない静かな話だが、『かもめ食堂』は読みやすさが星五つで、ヘルシンキの食堂の暮らしぶりが心を整えてくれる。こちらは調律の仕事を通して才能への迷いと向き合う職業もの。疲れた週末にほっとしたいなら向こう、仕事の意味を考えたい時はこちらを。
『ビオレタ』寺地はるな
自信のない主人公がゆっくり変わる点で『ビオレタ』と近い。あちらは棺桶を売る雑貨屋で働く女性の卑屈さが急には直らない過程を書く。こちらは先輩調律師について客の家を回り、双子の姉妹のピアノと向き合う。仕事の技術を軸に読みたいならこちら、人との関わりを軸にするなら向こう。










