あらすじ
最初の客は、日本のアニメが好きなフィンランドの青年でした。やがて、行き先を決めずに旅に出たミドリ、空港で荷物をなくしたマサコという二人の日本人女性が店を手伝うようになります。シナモンロールの匂いにつられて、町の人もぽつぽつと店をのぞきに来る。サチエがなぜこの町で店を開いたのかも、あっさりと語られます。
読みどころ
サチエの暮らし方が気持ちいい。毎日きちんと掃除して、ていねいにご飯を作り、来る人を拒まない。それだけのことが、読んでいると妙に心を整えてくれます。短いので、疲れた週末の午後に一気に読めます。
こんな人に
おすすめしたいのは。知らない土地で、一から暮らしを始めてみたい人。
2006年の映画とあわせて書き下ろされた小説です。映画を観た人も、サチエの過去が描かれている分だけ新しく楽しめます。
向かないかもしれない人
物語性の星は3つで、大きな事件や劇的な展開はほとんど起きない。筋の起伏や謎で引っ張られる本を求める人には、穏やかな日々が退屈に映るかもしれない。
比べ読み
『食堂かたつむり』小川糸
どちらも女性が小さな食堂を開く話。本作はヘルシンキでおにぎりを出し、『食堂かたつむり』は声を失った倫子が故郷で一日一組だけを迎える。物語性はかたつむりが星一つ上。軽やかな異国の暮らしなら本作を、料理で思いを伝える話を読みたい時はかたつむりへ。
『マカン・マラン 二十三時の夜食カフェ』古内一絵
夜十一時から開く店で疲れた人に夜食を出す『マカン・マラン』と、異国の街角の食堂を舞台にした本作。星は同じ並び。悩みを抱えた客の話をじっくり読みたい夜はマカン・マラン、余計な事件のない淡々とした暮らしを眺めたい午後は本作を選ぶとよい。








