あらすじ
前半は一軒の家の謎解き。栗原の仮説が一つ出るたびに図面の見え方が変わり、やがて別の家の図面が出てきて、話は一軒の中に収まらなくなります。文章の合間に間取り図が入るので、読者も同じ資料を見ながら考えられる作りです。
読みどころ
怪奇現象は起きません。怖さの出どころは人間が何のためにその部屋を作ったのかという一点にしぼられています。図面を目で追う時間が長く、読む速度が自然に落ちるのも効いています。
こんな人に
おすすめしたいのは。間取り図や建物の図面を眺めるのが好きな人。
著者は同じ形式で『変な絵』も書いています。2024年に映画化されました。
向かないかもしれない人
再読性は星3で、仕掛けを知ったあとにもう一度楽しむ種類の本ではありません。文章の味わいや人物の内面を読みたい人には、図面の検討が続く運びがあっさりして見えそうです。
比べ読み
『ししりばの家』澤村伊智
どちらも家そのものが怖さの中心にあります。『変な家』は怪奇現象が起きず、図面の不自然な空間を誰が何のために作ったのかを考える謎解き。『ししりばの家』は居心地のよすぎる友人宅に怪異があり、出ていけなくなるたぐいの怖さです。図面を見ながら考えたい日はこちら、怪異の気配を味わいたい日は澤村作品を。
『粘膜人間』飴村行
同じホラーの棚でも、刺激の強さは両端にあります。『粘膜人間』は暴力や拷問の場面が生々しく、癖の強い世界と黒い笑いで読ませる本。こちらは血の場面に頼らず、間取り図の空白を理詰めで追う作りで、読みやすさは星5です。強い描写が苦手な人は迷わずこちらから、耐性があって奇妙な世界を求めるなら飴村作品を。









