あらすじ
砂という細部が繰り返し出てきます。畳の目にたまる砂、靴の中の砂、口の中のざらつき。読者は早い段階で違和感に気づきますが、家の中にいる人物はそれを当たり前として受け入れている。そのずれが緊張を作ります。
読みどころ
比嘉姉妹が出てくるシリーズの三作目です。逃げ出せばいいのに、逃げたくなくなるという形の恐怖で、閉じ込められる話が苦手な人ほど効きます。
こんな人に
おすすめしたいのは。家そのものが怖い話を読みたい人。
シリーズは『ぼぎわんが、来る』『ずうのめ人形』に続く三作目です。
向かないかもしれない人
閉じ込められる状況に弱い人ほど強く効く怖さなので、そこが弱点の人は覚悟が要る。シリーズ三作目のため、比嘉姉妹の経緯から追いたい人は前の二作が先。
比べ読み
『残穢』小野不由美
どちらも住まいが怖さの舞台。『残穢』は部屋の物音を発端に、土地の歴史を長い年月さかのぼって記録する型で、派手な怪物は出ない。『ししりばの家』は砂のざらつきが続く友人宅に入り込み、逃げたくなくなる恐怖で締めつける。調べる過程を追いたいなら『残穢』を、閉じ込められる緊張を味わう気分ならこちらを。
『近畿地方のある場所について』背筋
『近畿地方のある場所について』は雑誌記事やネットの書き込みを並べ、本当にあったかもと思わせる資料の生々しさで怖がらせる。『ししりばの家』は一軒の家の違和感を、人物の感覚に沿って積み上げる小説の形。再読性の星は『近畿地方』のほうが1つ多い。考察しながら読みたいなら『近畿地方』が先。












