あらすじ
職場の人間関係、実家の空気、恋人の家族の問題。都の選択はいつも中途半端で、決めきれないまま時間が過ぎます。冒頭と末尾に置かれた枠が、読後の印象を変えます。
読みどころ
三十代の生活を、仕事・介護・結婚の三方向から同時に書いた作品です。答えを出さない終わり方が、かえって現実に近い。
こんな人に
おすすめしたいのは。同世代の生活を書いた小説を読みたい人。
同じ作者の『プラナリア』は直木賞を受けた短編集です。
向かないかもしれない人
主人公の選択はいつも中途半端で、答えを出さないまま話が進みます。はっきりした結末や、迷わず決断する主人公を読みたい人には歯がゆく感じられます。
比べ読み
『長いお別れ』中島京子
介護が柱になる点で並べて読めます。『長いお別れ』は認知症になった父を囲む家族の十年を一年ずつ章に分け、笑える場面も交えて書いています。『自転しながら公転する』は介護に仕事と結婚が重なる三十代の一人の女性が中心。家族全体を見渡したいなら中島作品、自分の生活に重ねたいなら山本作品を。
『お探し物は図書室まで』青山美智子
働き方や年齢の悩みを扱う点は同じですが、青山美智子の図書室の連作は、本と付録で背中を押す作りで、各話に区切りがあります。『自転しながら公転する』は決めきれない時間が長く続く作り。気軽に読み進めたい日は青山作品、答えの出ない現実に付き合う余裕がある日はこちら。









