あらすじ
収録は五編。フリーターの男性、離婚を考える妻、実家にいる娘。どの話にも、働くことや家族に対する屈託が置かれています。文章は平易で、心理の説明も過剰ではありません。
読みどころ
直木賞を受けた一冊です。努力が足りないと言われがちな人の側に立っているため、読んでいて気が楽になる場面が多くあります。
こんな人に
おすすめしたいのは。前向きになれない時期を過ごしている人。
同じ作者の『自転しながら公転する』は長編です。
向かないかもしれない人
前向きに立ち直る展開や、はっきりした解決を望む人は満たされにくいでしょう。働くことや家族への屈託が各編に置かれているので、元気を出したい時には向きにくい本です。
比べ読み
『ひと』小野寺史宜
劇的なことが起きないまま状況が動く点で『ひと』と近い。あちらは両親を亡くした大学生が惣菜屋で働く再出発を一本の長編で追う。こちらは働く気になれない人たちを責めずに書いた五編。前へ踏み出す話が欲しい時は向こう、まだ立ち止まっていたい時はこちらを。
『イン・ザ・プール』奥田英朗
心の不調を扱う点で並ぶ『イン・ザ・プール』は、注射好きの精神科医が深刻さを笑いで軽くする連作。こちらは病気のあとの屈託を平易な文章で淡々と書く。笑って気分を変えたいなら向こう、同じ目線でそっと並んでほしい時はこちらが合います。









