棚の前で/ホラーの部/かたみ歌

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棚の前で

『かたみ歌』新潮文庫の書影書影:版元ドットコム

かたみ歌

  • ホラー
  • 新潮文庫
  • 分量:ふつう

昭和の下町の商店街に、少しだけ不思議なことが起きる。七つの話がひとつの町でつながる。

おすすめ度
★★★★★
読みやすさ
★★★★★
物語性
★★★★★
実用度
★★★★★
再読性
★★★★★

おすすめ度は、棚の前でが「まず一冊」としてどのくらい強く勧めるかを示す数字です。物語性・再読性・読みやすさと分量から決めています。

版元
新潮社
判型
新潮文庫
刊行
2008年2月
ISBN
9784101337715

あらすじ

時代は昭和四十年代あたり。どの話にも町の人々が少しずつ登場し、別の話の脇役が次の話の主役になります。最後の一編を読むと、町そのものが一つの物語だったことが分かる作りです。

読みどころ

不思議な出来事が、人の後悔を救う形で使われているのがこの本の特徴です。ホラーが苦手な人でも読めますが、怪談としての切れ味も残っています。

こんな人に

おすすめしたいのは。昭和の町を舞台にした話が好きな人。

同じ作者の『都市伝説セピア』も、日常の隙間を扱った短編集です。

向かないかもしれない人

怪談の怖さを正面から浴びたい人には、不思議が後悔の救いに使われる作りが穏やかすぎるかもしれない。昭和の下町の空気に郷愁を覚えない人にも響きにくい面がある。

比べ読み

『夜市』恒川光太郎

不思議と切なさが同居する点で近い二冊。「夜市」は何かを買わないと出られない異界の市場が舞台で、怖さより異界の静けさが残る。「かたみ歌」は昭和の商店街に少しだけ不思議が混じる七編で、怪異を人の後悔を救う方向に使う。身近な町に留まりたい気分なら「かたみ歌」、異界へ迷い込みたい夜は「夜市」を。

『幻色江戸ごよみ』宮部みゆき

どちらも一つの町に不思議が混じる短編集。「幻色江戸ごよみ」は江戸の十二か月を十二編で巡り、「かたみ歌」は昭和四十年代の下町を七編で巡る。脇役が次の話の主役になるつながりを楽しむなら「かたみ歌」を先に、時代ものの気分なら江戸の方を。再読性は「かたみ歌」が星一つ上。

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