あらすじ
併録は二編。どれも家族と近所づきあいを扱い、語り手は起きていることを深く考えません。読者だけが、少しずつずれに気づいていきます。
読みどころ
説明しないことで不穏さを作るこの作者の手つきが、短い分量に凝縮されています。一時間ほどで読めます。
こんな人に
おすすめしたいのは。短くて後を引く小説を探している人。
同じ作者の『星の子』『こちらあみ子』も文庫で読めます。
向かないかもしれない人
説明しないことで不穏さを作る作風なので、出来事の意味をはっきり示してほしい人や、すっきりした結末を求める人には、読み終わっても落ち着かない感覚が残りそうです。
比べ読み
『ポトスライムの舟』津村記久子
どちらも軽い分量の短い作品だが、こちらは語り手が気づかないずれを読者だけが拾う不穏さが軸で、『ポトスライムの舟』は働く日々の退屈を否定せずに書く。落ち着かない感触を味わいたい時はこちら、仕事帰りに静かに区切りをつけたい時は向こうを選ぶとよいです。
『放課後の音符』山田詠美
十代を扱う『放課後の音符』は恋を知りはじめた高校生の感情を鋭く切り取る八編で、気持ちはまっすぐ言葉にされる。こちらは家族と近所づきあいを説明なしに置き、何が起きているかを読者に委ねる。分かりやすい切れ味なら向こう、後から効く違和感ならこちら。












