あらすじ
T氏の言う殺し方は、手を下すことではありません。けがをした老人に、わざと評判の悪い医者を教える。線路を渡ろうとしている老婆に声をかけて、かえって慌てさせる。死ぬかもしれないし、死なないかもしれない、その見込みに賭けるだけ。聞いている男たちと同じ席にいるような気分で、T氏の告白を一つずつ聞かされていきます。話の終わりには、乱歩らしいしかけが待っています。
読みどころ
1925年に雑誌『新青年』に載った短編です。「乙女の本棚」は、文豪の小説一編に今のイラストレーターの描きおろしの絵を合わせたシリーズで、この巻の絵は寿なし子。赤い部屋とろうそくの光を、絵で目の前に見ながら読めるのがこの版のよさです。短いので一度に読み切れます。
こんな人に
おすすめしたいのは。人が話す「ここだけの話」に、つい聞き入ってしまう人。
同じ作者の『人間椅子』も、告白の手紙を読ませる形の短編です。














