あらすじ
加賀は被害者の勤め先、家族、息子が所属していた部活へと聞き込みを広げます。町の細かな場所が一つずつ意味を持ち、日本橋の名所が捜査の手がかりになっていく。並行して、容疑者の恋人が真相を探ろうとする動きも描かれます。
読みどころ
親が子に伝えそこねたことを、他人が代わりに見つけるという形の結末です。事件の背後にあるのは学校と会社の組織の問題で、そこを逃げずに書いているところが読みどころになっています。
こんな人に
おすすめしたいのは。人情の部分が濃いミステリが好きな人。
2012年に映画化。加賀恭一郎シリーズでは『新参者』の続編にあたります。
向かないかもしれない人
再読性は星3で、トリックの切れ味より親子の情に重心があります。謎解きの鋭さを第一に求める人や、学校と会社の組織の問題を読むのがつらい人には合わない場面が出てきます。
比べ読み
『告白』湊かなえ
星の並びが同じ二冊で、どちらも学校が事件に絡みます。『告白』は登場人物のひとり語りだけで組まれ、語り手が替わるごとに事実の意味が裏返る構成で、後味の悪さも込み。『麒麟の翼』は刑事が足で聞き込みを重ね、親と子の間に残ったものを拾います。苦さを覚悟できるなら湊作品、人情の手ざわりを求めるなら東野作品を。
『カラスの親指』道尾秀介
重いものを背負う人物が出る点は同じでも、語り口が違います。『カラスの親指』は詐欺師たちが大勝負を打つ厚い本で、だまされる立場に置かれるのは読者のほう。こちらは日本橋の名所をたどる捜査で、死者の足取りを丹念に追います。騙される快感を味わいたいなら道尾作品、街歩きのような捜査なら加賀の一冊を。













