あらすじ
かつてナミヤ雑貨店の店主は、どんな悩みにも手紙で答えることで知られていました。牛乳箱に返事を入れておくと、翌朝には相談者が受け取っていく。三人が書いた返事は、なぜか過去の相談者のもとへ届きます。家業の魚屋を継ぐか音楽の夢を追うか迷う青年、オリンピックを目指すか病気の恋人に寄り添うか悩む女性。一つひとつの相談が、章をまたいでつながっていきます。
読みどころ
バラバラに見えた相談者たちが、最後に一本の線で結ばれていく構成が気持ちいい。ミステリの技術を、人を泣かせるほうに全部使っているような一冊です。殺人事件は起きないので、東野作品に重たいイメージがある人にも手渡せます。
こんな人に
おすすめしたいのは。誰かに相談したいのに、相手が思い浮かばない人。
2017年に映画化されました。東野圭吾の本で一番人にすすめやすいのは、たぶんこれです。
向かないかもしれない人
殺人のような強い事件は起きず、時間を越えて手紙が届く設定が軸にある。現実的な筋立てや、トリックで驚かせるミステリを求める人には、不思議な仕掛けが甘く映るかもしれない。
比べ読み
『ツバキ文具店』小川糸
どちらも手紙が人をつなぐ話。『ツバキ文具店』は鎌倉の代書屋が依頼人の代わりに手紙を書き、実用度が星2つ。ナミヤ雑貨店は過去の相談者へ返事が届くという仕掛けを持ち、ばらばらだった相談者が最後には一つに結びつきます。日々の手紙にゆったり触れたいならツバキ、構成の驚きも欲しいならナミヤを。
『スモールワールズ』一穂ミチ
『スモールワールズ』は六つの家族を描いた短編集で、話ごとに手ざわりが変わる。ナミヤ雑貨店も章ごとに相談者が替わりますが、章をまたいでつながっていく点が違う。一話完結で気ままに読みたい日はスモールワールズ、通しで読んで線が結ばれる感覚を味わいたい日はナミヤを。














