あらすじ
舞台は戦後の都会の片隅。話は一編ずつ独立していますが、同じ街の住人たちが互いに顔を出します。誰も状況から抜け出せませんが、話は暗く沈みません。
読みどころ
1962年の作品です。黒澤明の映画『どですかでん』の原作になりました。どん底の暮らしを、笑いを含めて書くことに徹しています。
こんな人に
おすすめしたいのは。市井の人を描いた短編集が好きな人。
同じ作者の『さぶ』『赤ひげ診療譚』も代表作です。
向かないかもしれない人
誰も状況から抜け出せない話が十五編続くので、困難を乗り越えて報われる筋が読みたい人には不満が残りそうだ。一編ずつ独立した断片で、一本の長い筋を追いたい人にも不向き。
比べ読み
『ナミヤ雑貨店の奇蹟』東野圭吾
どちらも人の悩みや暮らしを複数の話で見せる構成。「ナミヤ雑貨店の奇蹟」は終盤で相談者同士の線がつながる仕掛けがあり、読みやすさは星5と高い。「季節のない街」は十五の断片が同じ街でゆるく顔を合わせるだけで、どん底の暮らしを笑いを交えて書く。筋の気持ちよさなら「ナミヤ」、街の空気に浸るならこちら。
『あすなろ物語』井上靖
「あすなろ物語」は檜になれない木の名を借りた六章で、努力が届かない感覚を一人の歩みに沿って追う。「季節のない街」は大勢の住人がそれぞれ抜け出せない状況を抱える群像。一人の成長を読みたいなら「あすなろ」、多くの暮らしを短く覗きたいならこちらから。星の並びは同じなので気分で選んでいい。










