あらすじ
収められているのは「きつねのはなし」「果実の中の龍」「魔」「水神」の四編です。博識な先輩の下宿に通う大学生、酒屋の高校生の家庭教師を引き受けた大学生、祖父の通夜に集まった一族の孫と、語り手は話ごとに変わります。それでも芳蓮堂と、狐の面と、胴の長いケモノと、水が、四つの話のあちこちに出てくる。読み進めるほど、別々の話の間に細い糸が張られていくのが分かります。
読みどころ
単行本は2006年に新潮社から出ました。『四畳半神話大系』や『夜は短し歩けよ乙女』のにぎやかな語りを思って開くと、まるで違う顔に驚くはずです。笑いはほとんどなく、文章は静かで古風。何が起きているのかを最後まで言い切らないので、読み終えたあとに湿った気味の悪さが残ります。幽霊が飛び出して脅かすような怖さではありません。
こんな人に
おすすめしたいのは。説明のつかない不気味さを、ゆっくり味わいたい人。
同じ作者の怪談なら、旅先の夜をめぐる『夜行』が続けて読む一冊になります。












