あらすじ
読者が読んでいる物語そのものが、誰かの書いた原稿という体裁になっています。館の見取り図と迷路の構造が示され、犯行の可能性が図の上で検討される。館シリーズ三作目です。
読みどころ
物語の枠組みそのものを疑わせる作りで、最後まで読むと最初の数ページの意味が変わります。トリックの性質上、あらすじはここまでにします。
こんな人に
おすすめしたいのは。仕掛けの大きな本格ミステリを読みたい人。
館シリーズでは『十角館の殺人』『水車館の殺人』の次にあたります。
向かないかもしれない人
館シリーズの三作目にあたり、図面を見ながら犯行の可能性を検討する場面が続きます。筋の速さや人物どうしのドラマを求める人には、足取りが重く感じられるでしょう。
比べ読み
『倒錯のロンド』折原一
原稿が仕掛けの中心にある二冊です。『倒錯のロンド』は新人賞に応募した原稿が盗まれる話で、語りの企みで知られる作品。『迷路館の殺人』は館の見取り図と迷路の構造を示し、図の上で犯行の可能性を検討させる本格の構え。図面と格闘したいなら綾辻作品、語りに身を任せたいなら折原作品を。
『追想五断章』米澤穂信
どちらも作中に別の小説が入れ子になっています。『追想五断章』は結末の欠けた五つの小説を探す依頼が軸で、派手さを抑えた運び。こちらは迷路のある館で競作を命じられた作家たちが、書かれていく作中作の中で命を落とす大がかりな構え。静かな謎を味わう日は米澤作品、仕掛けの規模で驚きたい日は館シリーズを。












