あらすじ
雨が全編を覆い、川の増水が物語の時計になります。子どもたちはそれぞれ大人を疑い、自分たちで解決しようとして事態を複雑にしていく。視点は章ごとに切り替わります。
読みどころ
思い込みが悲劇を作るという、この作者の主題が強く出た一作です。読後感は重いですが、構成は緻密に組まれています。
こんな人に
おすすめしたいのは。重い家族ものを読める人。
同じ作者の『シャドウ』『ラットマン』も同じ系統です。
向かないかもしれない人
義理の親と暮らす子どもたちが大人を疑い、事態を悪くしていく。重い家族ものを読む気分でない時や、子どもが追い詰められる展開がつらい人には勧めにくい。
比べ読み
『天使のナイフ』薬丸岳
家族を軸にした重い話という点で並ぶ。『天使のナイフ』は少年法をめぐって被害者と加害者の両側を見つめる社会派、本作は二つの家の子どもたちの思い込みが悲劇を生む。社会の制度を考えたい時は天使のナイフ、子どもの視点の危うさを追いたい時は本作を。
『Nのために』湊かなえ
『Nのために』は四人の若者がそろって嘘をつく動機が主題で、恋愛小説としても読める。本作は雨と川の増水に追われるように、子どもたちが大人を疑って動く。星は同じ並び。人の思惑の綾を味わいたい日はNのために、張りつめた家族の話を読める日は本作。













