あらすじ
隼太の母は夜に店をやっていて、隼太は小さいころから夜を一人で過ごしてきました。優ちゃんが来て、家に明かりがついた。殴られるのはつらい。でも、あの暗い夜に戻るほうがもっと怖い。隼太は優ちゃんと二人で、切れないための記録をつけ、食事を工夫し、なんとか直そうとします。
読みどころ
暴力を受ける側が、相手を好きなまま守ろうとする。その危うさを、瀬尾まいこは隼太の目の高さのまま書いています。正しい答えを先に言わないので、読んでいて何度も落ち着かなくなる。部活や友だちとの時間がふつうに流れているぶん、家の中の出来事が重く残ります。単行本は2010年に筑摩書房から出ました。
こんな人に
おすすめしたいのは。家族の問題を、大人の正論ではなく子どもの側から考えてみたい人。
血のつながらない親子なら、瀬尾まいこの本屋大賞作『そして、バトンは渡された』を。こちらは明るい側から書いています。
向かないかもしれない人
家庭内の暴力が中心の題材で、正しい答えが先に示されません。暴力の場面がつらい人や、問題がすっきり片づく話を求める人には落ち着かない読書になりそうです。
比べ読み
『宇宙のみなしご』森絵都
『宇宙のみなしご』も居場所のない子どもの側から書かれ、星の並びは同じです。あちらは屋根に登る遊びで別の居場所を作っていく話、こちらは家の中の暴力と向き合う話で、重さはこちらが上。子ども目線の話を穏やかに読みたいならあちらを先に、覚悟がある時に『僕の明日を照らして』を。
『少女は卒業しない』朝井リョウ
『少女は卒業しない』は卒業式の一日に七人の別れを重ねる短めの連作で、劇的な事件は起きません。家庭内の暴力という題材を一人の少年の目で追うこちらとは、緊張の度合いがまるで違います。まとまった時間がない日や気分を軽くしたい日はあちら、腰を据えられる日にこちらを。














