棚の前で/人生の部/密やかな結晶

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棚の前で

『密やかな結晶』講談社文庫の書影書影:版元ドットコム

密やかな結晶

  • 人生
  • 講談社文庫
  • 分量:ふつう

この島では、ものが少しずつ消えていく。消えたものを覚えている人は、連れ去られる。

おすすめ度
★★★★★
読みやすさ
★★★★★
物語性
★★★★★
実用度
★★★★★
再読性
★★★★★

おすすめ度は、棚の前でが「まず一冊」としてどのくらい強く勧めるかを示す数字です。物語性・再読性・読みやすさと分量から決めています。

版元
講談社
判型
講談社文庫
刊行
2020年12月
ISBN
9784065214640

あらすじ

消滅は淡々と進み、人々は抵抗せずに受け入れます。作中には主人公が書いている小説も挿入され、外側の物語と響き合う。暴力的な場面は少ないのに、圧迫感は強い。

読みどころ

1994年の作品ですが、英訳が2019年に国際的な文学賞の最終候補となり、改めて注目されました。言葉や記憶を奪われることの意味を扱っています。

こんな人に

おすすめしたいのは。静かなディストピア小説を読みたい人。

同じ作者の『博士の愛した数式』は読みやすい長編です。

向かないかもしれない人

消えていくことに人々が抵抗しない話なので、反撃や解放の展開を待つ人にはもどかしいかもしれない。暴力は少なくても圧迫感は強く、明るい気分で読みたい時には向かない。

比べ読み

『小さいおうち』中島京子

どちらも、書かれないものや失われるものが中心にある。『小さいおうち』は戦前の女中の手記で、意図して書かなかったことが核になり、暮らしの細部が具体的。『密やかな結晶』は架空の島でものが消えていく寓話で、圧迫感が強い。実在の時代の手触りを求めるなら『小さいおうち』、静かな不穏さに浸るならこちら。

『ナミヤ雑貨店の奇蹟』東野圭吾

『ナミヤ雑貨店の奇蹟』は悩み相談の手紙が時を越え、相談者たちが一本の線で結ばれる、読みやすさ5の温かい組み立て。『密やかな結晶』は記憶を奪われていく島で、抵抗しない人々を淡々と追う。気持ちを明るくしたい日は『ナミヤ』を、言葉や記憶を失う意味を考えたい日はこちらを。

stock

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