あらすじ
相手によって文体も態度も変わります。友人には強がり、妹には見栄を張り、意中の相手には書けないまま。手紙の端々から、書き手が隠したい事情が漏れていきます。
読みどころ
書簡体という形式の面白さを、そのまま笑いに変えた作品です。この作者の中では読みやすく、後半は伏線が効いてきます。
こんな人に
おすすめしたいのは。手紙形式の小説を楽しみたい人。
京都を舞台にした作品に『四畳半神話大系』『有頂天家族』があります。
向かないかもしれない人
全編が手紙だけで進み、相手によって文体も態度も変わる。地の文で状況が説明される語りに慣れた人や、強がりと見栄の多い語り手が苦手な人には読みにくい。
比べ読み
『鴨川ホルモー』万城目学
どちらも大学生の空回りを笑いに変える。『鴨川ホルモー』は小さな鬼を操る競技に新入生が巻き込まれるデビュー作、本作は能登へ飛ばされた大学院生の手紙だけで進む。勢いのある騒動を楽しみたい日はホルモー、形式の遊びと伏線を味わいたい日は本作を。
『くちびるに歌を』中田永一
『くちびるに歌を』は五島列島の合唱部を舞台に、手堅い構成で個人の事情を積み上げる。本作は手紙の文面から、書き手が隠したい事情が漏れていく。形式の工夫を楽しみたいなら本作、島の中学生たちの群像を読みたい時はくちびるに歌をへ。












