あらすじ
語りは、村に滞在した人物の手記という形を取ります。怪奇作家の刀城言耶が現れて、村の伝承と事件の記録を突き合わせていく。民俗学的な記述が長く、読む速度は落ちる。その情報がそのまま推理の材料になる。
読みどころ
シリーズの中でも評価の高い一作です。解決の場面で、それまで怖かったものの意味が丸ごと変わる体験が用意されています。ホラーとして読んでも本格ミステリとして読んでも成立する。
こんな人に
おすすめしたいのは。民俗ホラーと本格推理の両方が好きな人。
刀城言耶シリーズには『厭魅の如き憑くもの』『凶鳥の如き忌むもの』などがあります。
向かないかもしれない人
厚い本で読みやすさは星が三つ、村の伝承の説明が長く続きます。民俗の解説に付き合う根気がない時期の人や、首のない死体という題材そのものが苦手な人には入りにくい本です。
比べ読み
『陰獣』江戸川乱歩
星の並びが同じ二冊ですが、怖さの置き場所が違います。『陰獣』は探偵小説の型を借りて語り手自身の欲望を書く乱歩の古典。『首無の如き祟るもの』は村の儀式と首のない死体を軸に、伝承と記録を突き合わせて推理していきます。短めの古典で語りの妖しさに触れてから厚い民俗ものへ進むと、無理がありません。
『嗤う伊右衛門』京極夏彦
怪異の正体を人の側へ引き寄せる点で、並べると面白い組み合わせです。『嗤う伊右衛門』は四谷怪談を夫婦の話に書き直した、京極作品では短めの本。こちらは伝承の解説が長く歩みは遅めですが、その情報が推理の材料に化けます。時代小説の文体を楽しみたい日は京極、謎解きまで欲しい日は三津田を。














