棚の前で/ミステリの部/母性

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棚の前で

『母性』新潮文庫の書影書影:版元ドットコム

母性

  • ミステリ
  • 新潮文庫
  • 分量:ふつう

女子高生が倒れているのが見つかった。母の手記と娘の回想が、同じ出来事を別々に語る。

おすすめ度
★★★★★
読みやすさ
★★★★★
物語性
★★★★★
実用度
★★★★★
再読性
★★★★★

おすすめ度は、棚の前でが「まず一冊」としてどのくらい強く勧めるかを示す数字です。物語性・再読性・読みやすさと分量から決めています。

版元
新潮社
判型
新潮文庫
刊行
2015年7月
ISBN
9784101267715

あらすじ

母は自分の母(娘にとっての祖母)を深く愛しており、その価値観のまま娘に接します。娘の側から見ると、その愛情は別のものに見える。震災や同居といった出来事が、両者の記憶で食い違います。

読みどころ

どちらが嘘をついているかではなく、両方が本当だと分かるところがこの小説の怖さです。家族を扱った作品としても読めます。

こんな人に

おすすめしたいのは。語りのずれを味わいたい人。

映画版は2022年公開。同じ作者の『贖罪』も多視点の作品です。

向かないかもしれない人

謎がすっきり解けて終わるミステリを期待すると、狙いとずれる。焦点は母と娘の記憶の食い違いにあり、親子関係がつらい時期の人には重く響く。

比べ読み

『ザリガニの鳴くところ』Delia Owens

どちらも事件を入口に、一人の女性の生き方へ視線が移っていく。『ザリガニの鳴くところ』は湿地の自然描写が美しく、分量は厚め。『母性』は母の手記と娘の回想が同じ出来事を食い違わせ、語りのずれで読ませる。じっくり浸れる時間があるなら『ザリガニ』、短めに濃い緊張がほしいならこちら。

『天使のナイフ』薬丸岳

『天使のナイフ』は少年法を被害者側と加害者側の双方から問い、社会派ミステリとして謎を緩めない。『母性』は謎解きより、母と娘のどちらの記憶も本当だと分かっていく怖さが中心。犯人探しの手応えを求めるなら『天使のナイフ』、家族の内側のずれを見たいならこちらを先に。

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