あらすじ
手紙は当然、書き手に都合よく書かれています。往復が重なるにつれ、隠していたことがにじみ出てくる。三編のうち一編は、海外での出来事をめぐるものです。
読みどころ
書かれた言葉しか手がかりがないという制約が、この作者の持ち味と噛み合っています。読み口は静かですが、明かされる内容は重い。
こんな人に
おすすめしたいのは。書簡形式のミステリを読みたい人。
映画版は2011年公開。『少女』も同じ作者の長編です。
向かないかもしれない人
手紙の文面しか手がかりがなく、静かな読み口のまま重い内容が明かされます。派手な事件や捜査の場面を楽しみたい人には、動きが少なく感じられるかもしれません。
比べ読み
『容疑者Xの献身』東野圭吾
どちらも隠されたことが明かされていく過程で読ませます。『容疑者Xの献身』は犯行の場面で幕を開け、天才どうしの読み合いが張りつめる。こちらは手紙のやりとりだけで十五年前の事故の真相が書き換わり、読み口は静か。緊張感で引っ張られたいなら容疑者Xの献身、言葉の行間を追うなら往復書簡を。
『さよならドビュッシー』中山七里
最後に印象が反転する作りは共通ですが、入口が異なります。『さよならドビュッシー』は表向きピアノの道を目指す少女の音楽小説で、最後に足元をすくわれる。こちらは三編の書簡で、書き手に都合よく書かれた手紙から隠し事がにじむ。音楽の場面が好きならドビュッシーを先に。













