あらすじ
設定はSFですが、扱われるのは嫁姑、介護、育児、親戚づきあいといった身近な問題です。新しい技術が導入されるたび、誰かの立場が悪くなる。皮肉の効いた結末が多く並びます。
読みどころ
怪異ではなく制度と家族が怖いという一冊です。ホラーとSFのどちらから読んでも成立します。
こんな人に
おすすめしたいのは。近未来を舞台にした短編集が好きな人。
同じ作者の『などらきの首』も短編集です。
向かないかもしれない人
怪異や化け物の怖さを期待すると方向が違います。介護や育児など身近な家族の問題が皮肉な形で続くので、今その渦中にいる人には笑えない場面が多いかもしれません。
比べ読み
『人獣細工』小林泰三
技術が人の身体や家族を揺さぶる点で『人獣細工』と重なる。あちらは豚の臓器を移植された娘を通して自分が自分である根拠を崩し、描写の強さに覚悟が要る。こちらは嫁姑や介護など身近な問題を皮肉な結末で締める。刺激を抑えて試すならこちらを先に。
『秋の牢獄』恒川光太郎
どちらも短編集だが、怖さの質が違う。『秋の牢獄』は同じ日を繰り返す孤独を描き、恐怖より喪失感が残る。こちらは新しい技術が入るたび誰かの立場が悪くなる制度の怖さ。しみじみしたい夜は向こう、皮肉の効いた近未来で背筋を冷やしたい夜はこちら。












