あらすじ
収録は四編。芸能人になった元同級生と会う話、家庭教師との再会、姉妹の記憶の食い違いなど。どの話でも、会話が噛み合わないまま進み、読者だけが両方の立場を知ることになります。
読みどころ
悪意のない加害を、一冊まるごと扱った短編集です。短いので一気に読めますが、読後は落ち着きません。
こんな人に
おすすめしたいのは。自分の過去を振り返りたくなる本が平気な人。
同じ作者の『傲慢と善良』も同じ主題を長編で扱っています。
向かないかもしれない人
読みやすさは星5でも、悪意なく人を傷つけた側の話が続きます。昔の人間関係を思い出すと気が沈む時期の人や、すっきり和解する結末を期待する人には重く感じられます。
比べ読み
『スモールワールズ』一穂ミチ
どちらも身近な人との関係を扱う短編集で、星はすべての項目でそろっています。『スモールワールズ』は六つの話で手ざわりが毎回変わり、こちらの四編は悪意のない加害という一つの主題に絞られています。幅を楽しむなら一穂作品を先に、一点を突き詰めたいなら辻村作品を。
『ナミヤ雑貨店の奇蹟』東野圭吾
『ナミヤ雑貨店の奇蹟』では別々の相談者が終盤で一つにつながり、殺人も起きない温かい構成です。辻村作品のほうは会話が噛み合わないまま進み、落ち着かない気分が残ります。気持ちを明るくしたい日は東野作品、自分の過去を点検する覚悟がある日はこちら。














