あらすじ
突然亡くなったアイドルに会いたい女性。母親にがんの告知をしなかったことを悔やむ中年の男。仲違いしたまま親友を亡くした女子高生。婚約者が失踪したまま七年待ち続けている会社員。四人の依頼を、使者を務める高校生・渋谷歩美が取り次ぎます。最後の章では、歩美がなぜこの役目を継ぐことになったのかが描かれます。
読みどころ
全部が泣ける話ではなく、会ったことでかえって取り返しがつかなくなる話も入っているのが、辻村深月らしいところです。とくに女子高生の章は、後味の苦さが長く残ります。最終章で、それまでの四つの話の見え方が裏側から変わります。
こんな人に
おすすめしたいのは。もう会えない誰かに、言いそびれたことがある人。
2012年に映画化されています。続編の『ツナグ 想い人の心得』は、この本を読んでからどうぞ。
向かないかもしれない人
四つの依頼の中には、再会がむしろ傷を深くする話があり、女子高生の章はとりわけ後を引きます。死者との再会に慰めだけを求める人には、つらく感じる場面があります。
比べ読み
『博士の愛した数式』小川洋子
星の並びがそろい、どちらも限られた時間の中での出会いを扱います。『博士の愛した数式』は記憶が八十分しかもたない博士と過ごす日々の話。『ツナグ』は死者に一度だけ会える依頼の連作で、会ったことで苦さが増す話も混じります。穏やかさを求めるなら小川洋子作品、甘いだけでない再会を読みたいならこちら。
『ライオンのおやつ』小川糸
『ライオンのおやつ』は余命を告げられた女性が瀬戸内の島のホスピスで最後の日々を送る話で、死を迎える側の目線です。こちらは死者に会いたいと願う、残された側の話。実用度は小川糸作品が一つ高めです。自分の終わり方を考えたい時期なら小川作品、言いそびれた相手を思う時期なら辻村作品を。














