あらすじ
奉公人、商人、職人。登場するのは市井の人ばかりで、怪異は生活の事情と絡み合って現れます。人情話として終わる編もあれば、後味の悪いまま閉じる編もあります。
読みどころ
江戸の怪談と人情話を、同じ器で出すのがこの作者の得意な形です。一編が短く、読みやすい。
こんな人に
おすすめしたいのは。江戸ものの短編集を読みたい人。
同じ作者の『幻色江戸ごよみ』も同じ系統です。
向かないかもしれない人
すべての話がすっきり救われる人情話を期待すると、後味の悪いまま閉じる編に戸惑うかもしれない。長編の大きな謎を追いたい人には、短編の区切りが物足りなく感じられる。
比べ読み
『花菱夫妻の退魔帖』白川紺子
怪異と人の情を組み合わせる点で近い。『花菱夫妻の退魔帖』は大正時代の夫婦が怪異を祓うシリーズで、怖さより情に重心がある。『堪忍箱』は江戸の市井の人々の暮らしに怪異が絡み、人情で終わる編もあれば後味の悪い編もある。安心して読みたいなら『花菱夫妻』、苦みも欲しいならこちら。
『死者のための音楽』山白朝子
『死者のための音楽』は死者と生者の距離が少し近い世界の短編集で、悲しい話として読むと深い。『堪忍箱』は江戸の奉公人や職人の生活に怪異が入り込む九編で、時代小説の手触りがある。切なさに浸る怪談なら『死者のための音楽』、江戸の町を歩く気分で読むならこちらから。














