あらすじ
前半の短編は独立した話に見えますが、後半で一つの家族の物語に収束します。闘病の描写は詳しくなく、日常のやりとりが中心です。子どもの視点から書かれた編もあります。
読みどころ
別れの場面そのものより、その手前の時間に紙幅を割く構成です。読む側の状況によって、受け取り方が大きく変わります。
こんな人に
おすすめしたいのは。家族の死に向き合った経験がある人。
映画版は2008年公開。『流星ワゴン』も同じ作者の長編です。
向かないかもしれない人
妻の余命という題材のため、身近な人を見送ったばかりの時期には受け止め方が重くなりえます。闘病の経過や医療の詳しい描写を期待する人にも向きません。
比べ読み
『鉄道員』浅田次郎
どちらも死や別れを短編で扱い、五つの星の評価も一致します。『鉄道員』は幼くして死んだ娘が現れる昔ながらの人情話で、泣かせる構成が前に出ます。『その日のまえに』は闘病より日常のやりとりを中心に、別れの手前の時間を書く作り。懐かしい語りを求めるなら浅田作品、身近な家族の話ならこちらを。
『スモールワールズ』一穂ミチ
独立した短編が並ぶ形は似ていますが、『スモールワールズ』は六つの家族の話がそれぞれ違う手ざわりを持ち、『その日のまえに』は後半で一つの家族に収束していきます。いろいろな家族を見たい日は一穂作品、一つの家族の時間をまとめて受け止めたい日は重松作品を。














