あらすじ
語り手はいずれも、当時の生徒が大人になった姿です。今の自分の仕事や家庭の問題と、昔の教室の記憶が重なる。教師の側の事情が、後になって見えてくる話もあります。
読みどころ
先生を美化も断罪もせず、ただ思い出すという距離の取り方です。学校を扱った短編集としては、読みやすい部類に入ります。
こんな人に
おすすめしたいのは。学校時代を思い出したい人。
同じ作者の『青い鳥』『きよしこ』も学校が舞台です。
向かないかもしれない人
大きな出来事より、昔の教室を思い出す静かな距離感が中心です。先生が生徒を救う熱いドラマや、白黒のはっきりした結論を求める人には淡く映るかもしれません。
比べ読み
『くちびるに歌を』中田永一
教師と生徒の関係を扱う点で通じますが、視点の位置が違います。『くちびるに歌を』は臨時教師が来た合唱部の今を書き、『せんせい。』は大人になった元生徒が昔の先生を思い出す六つの短編。中学生の目線に寄り添いたいならくちびるに歌を、自分の学校時代を振り返りたいならこちら。
『鹿男あをによし』万城目学
どちらにも教師が出てきます。『鹿男あをによし』は奈良に赴任した教師が鹿の任務に振り回される奇想で、教師としての成長譚にもなっている。こちらは現実の教室の記憶を、美化も断罪もせず思い出す距離感が持ち味。笑いたい気分なら鹿男、静かに思い返したい日はせんせい。を。













