あらすじ
各編の題は「小豆洗い」「柳女」など、実在する妖怪の名前から取られています。どのように仕掛けたのかは後から明かされ、手口の解説がそのまま読みどころになる。語り手は各編で替わる。
読みどころ
妖怪の伝承が、どのように人の都合から生まれるかを裏側から書いた作品です。百鬼夜行シリーズより短く、京極作品の入口として勧めやすい一冊になっています。
こんな人に
おすすめしたいのは。江戸の風俗や妖怪の話が好きな人。
続編に『続巷説百物語』などがあります。同じ作者の代表作は『姑獲鳥の夏』。
向かないかもしれない人
各編の手口は後から明かされる作りで、純粋に怖がりたい人には種明かしが興をそぐかもしれない。江戸の風俗や妖怪の伝承に関心が薄い人には、題材そのものが遠く感じられそうだ。
比べ読み
『雨月物語』上田秋成
江戸の怪異を扱う二冊ですが、立ち位置は逆。『雨月物語』は死者が戻り蛇が女に化ける怪異そのものを語る、1776年の古典です。巷説百物語は恨みを妖怪のしわざに仕立てる側から書き、手口の種明かしが読みどころ。怪異を怪異として味わうなら雨月、裏側の仕掛けを楽しむなら本作。
『草祭』恒川光太郎
『草祭』は美奥という町に迷い込む人を追う五つの連作で、怖さと懐かしさが同じ源から湧いてくる幻想譚。巷説百物語は語り手が各編で替わる江戸の仕掛けもので、人の都合が妖怪を生む過程を書きます。説明のない不思議に浸りたい夜は草祭、理屈で怪異をほどきたい夜は本作。













