あらすじ
島に着いた雫を迎えたのは、代表のマドンナと、人なつこい犬の六花。畑の野菜、海の景色、同じ家で最期を待つ入居者たちとの会話。雫はここで、ずっと押し込めてきた家族のことや、自分の人生と向き合っていきます。日曜日のおやつの時間には、誰かの思い出の味が、その人の人生と一緒に語られます。
読みどころ
「死ぬのが怖い」という気持ちを否定せず、それでも今日のごはんがおいしいことを大事にする。そういう書き方に、救われる人は多いと思います。出てくるおやつがどれも具体的で、読みながら自分なら何をリクエストするか考えてしまいます。
こんな人に
おすすめしたいのは。大切な人を見送ったことがある人、これから見送る人。
2021年にドラマ化されました。同じ作者の『ツバキ文具店』も、手紙を通して人の思いを届ける優しい話です。
向かないかもしれない人
余命を告げられた主人公の最後の日々が中心なので、身近な人を亡くした直後で死を扱う話に触れるのがつらい人は、時期を選んだほうがよさそうです。
比べ読み
『ツナグ』辻村深月
死と別れを扱う点は重なるが、こちらは見送られる側が島で日々を過ごす話、『ツナグ』は死者に一度だけ会える仕組みを通して残された側を書き、後味の苦い章も含む。穏やかに向き合いたいならこちらを先に、別れの別の面まで見たいなら向こうへ。
『神様のカルテ』夏川草介
終末期の医療に触れる点で近いのが『神様のカルテ』。あちらは医師の側から地方病院の現実を書き、古風な語り口に慣れが要る。こちらは患者本人の目線で、おやつや畑の野菜を通して一日ずつを味わう。医療の現場を知りたいなら向こう、本人の気持ちに寄り添うならこちら。












