あらすじ
依頼は、犬の預かり、塾の送り迎え、納屋の片づけ。どれも地味な仕事のはずが、行天が関わるとなぜか厄介ごとに発展していきます。まほろ市は、東京と神奈川の境目にある架空の町。地元のチンピラ、娼婦、小学生、老人たちが入れ替わり店を訪れ、そのたびに多田と行天の過去が顔をのぞかせます。
読みどころ
行天の予測できない言動に笑わされつつ、ふと見せる二人の脆さに不意を突かれる。男同士のバディものとしても、町の人情ものとしても読めます。一話ずつ区切りがよく、読みやすい。
こんな人に
おすすめしたいのは。ゆるい男ふたりの掛け合いが好きな人。
2011年に瑛太、松田龍平の共演で映画化されました。続編は『まほろ駅前番外地』『まほろ駅前狂騒曲』です。
向かないかもしれない人
チンピラや娼婦など町の裏側の人物も出入りし、行天の言動は予測がつきません。品のよい人情話を期待する人や、事件の筋で引っ張ってほしい人には、まとまりが緩く感じられそうです。
比べ読み
『ラブカは静かに弓を持つ』安壇美緒
星は同じでも、仕事の中身が違います。『ラブカは静かに弓を持つ』は著作権団体の職員が身分を隠して音楽教室に通う潜入の話で、後ろめたさが緊張を生みます。こちらは便利屋の地味な依頼が同級生のせいで厄介ごとに転がる、笑いの多い話。張りつめた空気を味わうなら安壇作品、ゆるい掛け合いを楽しむなら三浦作品を。
『阪急電車』有川浩
どちらも一つの町や路線に集まる人々を一話ずつ描きます。『阪急電車』は乗り合わせた乗客の小さな話が駅ごとにつながり、分量も軽め。こちらは東京と神奈川の境にある架空の町で、便利屋の二人の過去が依頼のたびに顔を出します。軽い群像を楽しむなら有川作品、男二人の関係の深まりを見たいならこちら。












